
Pure Intonation
音と音の「あいだ」を聴く。
純正律を探究するようになって、
私はますます、音を「関係」で聴くようになりました。
ひとつの音が美しいこと。
そして、その音が誰と出会うかによって、
まったく違う響きが生まれること。
私はそこに、とても惹かれています。
純正律では、
音と音をシンプルな整数比で結びます。
完全五度なら 3:2。
長三度なら 5:4。
その関係がきれいに重なったとき、
別々に鳴っていた音が溶け合って、
ひとつの大きな響きのように感じられる瞬間があります。
倍音が重なり、
音の揺れ方が変わり、
空間までふっと変わって感じる。
初めてその響きを体験したとき、
私は「音と音のあいだには、こんな世界があるんだ」と思いました。
現代のピアノをはじめ、
多くの楽器に使われている12平均律は、
1オクターブを12の等しい間隔に分けています。
どの調へも移動できる自由さがあり、
私たちが普段聴いている音楽の多くを支えています。
純正律は、
音同士の比率から響きをつくっていく世界。
私はどちらも扱います。
共演する楽器や作品によって、
基準となるピッチも、必要な音の関係も変わるからです。
クリスタルボウルは、
同じ音名が書かれていても、
実際に測ると周波数が違います。
さらに鳴らしてみると、
倍音も、揺れ方も、音の広がり方も違う。
だから私は、
一つひとつ測って、聴いて、重ねます。
「この音は、誰と響くんだろう」
そうやって音の関係を探していく時間が、
私はとても好きです。
純正律は、
私にとってひとつの答えというより、
響きの可能性をもっと深く知るための方法。
音と音が出会った、その「あいだ」に何が生まれるのか。
私は今も、
その響きを探し続けています。